6歳未満 臓器提供へ 家族承諾、初の脳死判定 富山大病院
日本臓器移植ネットワークは十四日、富山大付属病院(富山市)に入院していた低酸素性脳症の六歳未満の男児が、家族の承諾により、改正臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表した。男児は書面などで提供の意思表示をしていないが、家族が「息子が誰かのからだの一部となって長く生きてくれるのではないか」と承諾した。移植ネットは、待機患者の中から優先度の高い患者を選定し、移植の準備を進めている。
十五歳未満の子どもからの臓器提供が可能になった二〇一〇年七月の同法施行後、より厳格な脳死判定基準が適用される六歳未満は初めて。十五歳未満としては二例目。脳死による臓器移植は九十一例目で、家族承諾での提供は七十五例目。
男児の両親は移植ネットを通じ「息子は遠くへ飛び立っていきました。このようなことを成し遂げる息子を誇りに思っています。私たちのとった行動が正しく理解され、息子のことを長く記憶にとどめていただけるなら幸いです」とのコメントを出した。
家族が承諾した摘出臓器は心臓、肺、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓、小腸、眼球。心臓は大阪大付属病院(大阪府吹田市)で十歳未満の女児に、肝臓は国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で十歳未満の女児に、腎臓は富山県立中央病院(富山市)で六十歳代の女性に移植される予定。肺は該当者がなく、膵臓と小腸は医学的な理由で提供を断念した。
摘出チームの医師は十五日午前八時半に富山大付属病院に集まり、同日正午ごろから摘出が始まる予定。
移植ネットによると、主治医が七日、男児が重篤な脳障害となったことを家族に説明し、家族は臓器提供の希望を伝えた。家族は九日と十日の二回、移植ネットのコーディネーターらから臓器移植の説明を受け、十二日午後八時十分、両親を含む家族や親族八人の総意で承諾した。
一回目の脳死判定の後、十四日午後二時十一分の二回目の判定で法的な脳死とされた。六歳未満のため、判定は二十四時間の間隔をおいて行われた。
同法は虐待の疑いがある十八歳未満の子どもからの提供を認めていない。病院は十一日、虐待防止委員会を開き虐待の疑いがないと判断。移植ネットは「病院は警察や児童相談所にも相談し、虐待がないと判断した」と説明した。
男児が入院した時期や詳しい病状などは、家族の意向として公表されなかった。摘出手術をする病院はこれまで家族の意向で公表されないケースが多かったが、今回は家族が了承した。
<改正臓器移植法> 1997年の臓器移植法の施行以来、脳死からの臓器提供には本人の書面による意思表示が必要だったため実質的に提供ができるのは民法で遺言ができる15歳以上に限られていた。2010年7月に施行された改正法では書面による意思表示が不要になり、生前に拒否の意思表示をしていない限り、家族の承諾があれば脳死判定と臓器提供が可能になったため、年齢制限もなくなった。また、虐待を受け死亡した子どもから臓器が提供されないよう18歳未満の場合は判定する病院の委員会で虐待の疑いがないか確認することになった。
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